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がん免疫療法と化学療法・放射線療法とのコンビネーション治療の時代がすぐそこまでやって来た【院長ブログ】

 がんは、生体の免疫系を巧妙に利用して自らを守る仕組み(微小環境)を作ったり、あるいは新たな遺伝子変異などによってがん抗原をマスクし、細胞傷害性T細胞(CTL)の攻撃から逃れていることが明らかになってきている(immune escapeと呼ぶ)。

 

わが国で2014年に承認された抗PD-1抗体、2013年に米国で承認された抗CTLA-4抗体などの免疫治療薬は、このがんを守る仕組みを破壊する作用があるので大変注目されている。

 

がんを守る仕組みを構成するのは制御性T細胞(regulatory T-cell, Treg)や骨髄由来抑制細胞(myeloid-derived suppressor cell, MDSC)と呼ばれる細胞群である。このようながんを取り巻く仕組みやがん細胞そのものの特徴が明らかになってきた結果、従来の化学療法や放射線療法の役割も見直されてきている。

 

たとえば、抗がん剤や放射線は、(1)Treg等の免疫系細胞が構築する壁を破壊しがんを攻撃するための好都合な免疫系の再構築を促す、(2)がん細胞にがん抗原を放出させ樹状細胞による認識を促進する、(3)がん細胞におけるFas抗原の発現を増強しFas-FasLを介するCTL攻撃を強化する、等の効果があることが判明している。

 

 さて、上記のように抗PD-1抗体のような免疫治療薬や抗がん剤ならびに放射線治療によるがんのimmune escapeの破壊は、樹状細胞で誘導されたがん特異的なCTLが働きやすい環境を整備することを意味しており、いかにしてより強力なCTLを準備できるかがますます重要になってくる。

 

そのためには、抗がん剤、放射線療法と免疫療法をいかに巧妙に併用するかが鍵となる。ここにきてやっと、外科療法、化学療法、放射線療法の3大療法に続く第4の免疫療法が、本格的な幕開けに突入したと言える。

アクティクリニック 院長 藤本純一郎

 

参考文献

Keenan, B and Jaffee, E. Whole Cell Vaccines — Past Progress and Future Strategies. Semin Oncol. 2012 June ; 39(3): 276–286.

Cancer Immunotherapy, 2nd Edition. Chapter 24: Immune Stimulatory Features of Classical Chemotherapy. P.395-414. Eds, G. Prendergast, E. Jaffee, Academic Press 2013.

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